酒樽がヒントになった打診法
2020/12/11
やっかいな計算が続きましたが、次は大ざっぱに見えて正確に
診断する、お医者さんの話です。
胸やおなかに手をあててとんとんと叩く、いわゆる「打診法」。
音の響きから内臓の状態を判断します。
健康なときは、臓器がしっかり詰まっているような重い
音がします。
ガスがたまっていればパンパンした軽い音で、水がたまっていると
ボコボコ音がするそうです。
これを診断するには長い経験と勘が必要で、素人には
とてもわかりません。
じつはこの方法、酒樽に入っている量を計る方法から
思いついたといわれています。
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一八世紀、オーストリアの医師レオポルトーア
ウェンブルッガーは宿屋の息子。
お父さんが酒樽を叩いているのを見て、患者の胸のなかの
状態がわからないか、ということではじめたのです。
最初のうちは、酒樽と患者をいっしよにするとは何事か、
と反発がありましたが、ナポレオンの侍医が感心した
ことから広まりました。
この打診法は、江戸時代に日本にも持ち込まれましたが、
「スイカと同様に扱うとは!」などという反発があったようです。
適塾を開いたことで知られる蘭方医、緒方洪庵の随筆に、
その様子が書かれています。
ただし、多くの診断法が出てきた現在、この打診法は
行われなくなりつつありますね。
CTスキャンやMRIに代わってきているのです。
テレビなどを叩いて状態をみるというアナログな方法も、
いずれ過去のものになっていくのかもしれません。
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