うんちく・豆知識・雑学 「YEN」と「記号」と「温泉」
2020/12/11
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日本の通貨「円」はだれが決めた?
二〇〇三(平成一五)年秋になって、久しぶりの高値傾向
にある日本の通貨「円」ですが、円は一八七一 (明治四)年の
「新貨条例」によって、それまでの「両・分・朱」から
「円・銭・厘」に改められたものです。
由来については決定的な資料はなく、はっきりしません。
有力な説には、硬貨の形が丸いから、当時の香港で流通していた
銀貨の単位が円だったからなどがあります。
最初、明治政府は丸でなく四角い、方形の通貨をつくろうと
していたのですが、早稲田大学の創始者で、後に首相も務めた
大隈重信が、方形は持ち運びに不便、先進諸国の通貨はいずれも
丸い、との理由から円形の通貨を主張。
説得のときに人差し指と親指で輪をつくり、これでお金をあらわす
のだから円形にすべきだと言ったそうです。
ローマ字で「YEN」と表記されるのは一八七二(明治五)年
からですが、これには「EN」だと外国人が発音しにくい、
フランス語、オランダ語にある単語の「EN」と同じつづりに
なるのを避けた、などの説があります。
通貨記号の「¥」の横棒は、アメリカの「ドル($)」、
イギリスの「ポンド(£)」などにならったものです。
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「温泉マーク」はドイツ生まれ
「¥」以外にも、日本ではいろいろな「記号」を使っていますが、
わかりやすい傑作マークといえば「温泉マーク」ではないでしょうか。
温かそうな湯気が立つ絵面を見ていると、気持ちまで
ぽかぽかしてきます。
いかにもジャパネスクな温泉マークですが、意外にもルーツは
ドイツらしいのです。
考案者こそわかりませんが、一九世紀の地図に載っだのが最初と
されています。
日本では一八七九(明治二一)年に参謀本部測量局(後の陸地測量部)
が仮製図した地図に登場するのが最初で、一八八五(明治一八)年
には正式に採用されたことになっています。ドイツで測量を
学んだ人が、そのまま取り入れたようです。
ところが、群馬県の磯部温泉には、日本で最初に温泉マークを
使ったという「温泉記号発祥の地」の記念碑が磯部公園内の
赤城神社に祀られています。
碑によれば、一六六一 (万治四)年に、付近の農民の土地争いを
収めるために江戸幕府が出した地図に温泉マークが二つ記されて
いたそうです。
これが本当ならドイツ版より古く、世界最古になりますが、
真相ははっきりしていません。
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お湯じゃなくても温泉というのか?
最近では数千メートルもボーリングする「温泉」も増えていますが、
温泉とは、豊かなお湯が湧き出ているところだと思っていませんか?
じつは、そうではないのです。温泉を定義する法律を見てみましょう。
一九四八(昭和二三)年公布の「温泉法」です。
温泉法によると、温泉とは「地中から湧き出す温水、鉱水及び水蒸気、
その他のガス(炭化水素を主成分とする天然ガスを除く)で、
温泉源での温度が二五度以上のものか、または表の(表は省略)
物質の何れか一つが限界値以上を含む」もの。
つまり、地中から出た水の温度が二五度以上ならすべて温泉
というわけです。
お湯ではなくても、ガス、水蒸気なども温泉ということになります。
実際、わたしたちが温泉に入っているとき、温泉のミネラル
などの成分は皮膚からだけではなく、呼吸器からも体内に
取り込まれています。
ドイツなどには、一九世紀から温泉の蒸気を吸う治療法があり、
温泉を吸うだけの施設も多いようです。
日本にも、以前から吸入療法が行われていた記録も残っています。
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